2013年11月13日水曜日

トルコ語名への変換


トルコの市場調査業務の中で、現地で販売されているドレッシング類の種類や市場価格などを調べておりましたところ、Kühneという会社が出している「サザンアイランド・ドレッシング」の情報がなかなか見つかりません。


どうにも出てこなくてKühne社のHP商品一覧を行ったり来たりしているうちに、ハッと気が付きました。

もしかして…この「Bin Ada(ビン・アダ)」ってやつじゃなくて?
 
 

「Bin」はトルコ語で「1000」、「Ada」はトルコ語で「島」。

ああそうか。

サザンアイランド」は「Thousand Island」、ということは、「1000の島」。

 た…確かに!!

トルコ語に訳されていたとは盲点でした。

実はこの瞬間まで、サザンアイランドを「Southern Island南の島」だとばかり思い込んでいた私には、この一点の曇りもなく明瞭なトルコ語訳「BIN ADA1000の島」が全くもってストレートに結びついてこなかったのでした…。

 
外来の名前は安直にカタカナで英語のまま表記することの多い日本と違い、トルコは意地でもトルコ語に変換するお国柄。もちろん、古くはアラビア語やペルシャ語、近代では英語やフランス語などからの外来語もたくさん入ってきていますが、基本的には母国語ラブ、近代化が進んではいても、まだまだ先進国に魂まで売り渡してはおりません。
 

例えば映画のタイトル。

日本でも昔は翻訳者たちが頭をひねって粋な邦題を付けていたものですが(『An Officer And A Gentleman』が『愛と青春の旅立ち』とか、『Bonnie And Clydeが『俺たちに明日はない』とか)、ある時期以降英語のままカタカナ表記のタイトルが増えました。『イングリッシュ・ペイシェント』とか『P.S.アイ・ラヴ・ユー』とか『ブラック&ホワイト』とか『ブラックスワン』とか『リバー・ランズ・スルー・イット』とか『キック・アス』とか『ハンガーゲーム』とか…。最近はかなり邦題回帰の傾向もあるようですが。

 

トルコでは外国映画タイトルはほぼ訳します。

先ほど例に挙げたものは全て、以下の通り大体「直訳」されています。


English Patient』は『Ingiliz Hasta(インギリズ・ハスタ;英国人患者)』

P.S. I Love You』は『Not Seni Seviyorum(ノット・セニ・セヴィヨルム;追伸、君を愛してる)』

Black & White』は『Siyah ve Beyaz(スィヤフ・ヴェ・ベヤズ;黒と白)』

Black Swan』は『Siyah Kuğu(スィヤフ・クウ;黒い白鳥)』

River Runs Through It』は『Bizi Ayrıran Nehir(ビズィ・アイルラン・ネヒル;僕たちを分かつ河)』

KICK ASS』は『Göster Gününü(ギョステル・ギュニュニュ;とっちめろ)』

The Hunger Games』は『Açlık Oyunları(アチルック・オユンラル;空腹遊戯)』

 

トルコ国内のあまねく老若男女に意味が伝わる。このことの方が、響きのカッコ良さよりも大事なのですね。そもそも、「英語の方がカッコよく聞こえる」という日本人の感覚がおかしいのかもしれません。

 

そしてふと思い出したのは、トルコ滞在中にTVで見かけた『美少女戦士セーラームーン

もちろんトルコ語吹き替えで放映されていて、面白くてついつい見入ってしまったのですが、主人公が叫んだ必殺技の名前にひっくり返りそうになりました。

たぶん、オリジナルは

ムーン・クリスタル・パワー!!

だと思われるのですが、トルコでは、

 
アイ)・クリスタル水晶)・ギュジュ!!

 
に変換されていました。

 
日本語オリジナル版が英語からの借用にも関わらず、そこもトルコ語に直すんだ…。

トルコ人のそんな心意気に惚れた瞬間でした。

 
トルコで展開される日本の商品は、商品名が可能な限りトルコ語に訳され、トルコの地に根付いて行くのでしょう。

今後どんな「直訳商品名」にお目にかかれるのか、とても楽しみです。


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