2015年9月4日金曜日

トルコの海岸に打ち上げられたのは~シリア難民の悲劇

9月2日、トルコのリゾート地ボドゥルムの海岸に、幼い子供の遺体が打ち上げられているのが発見されました。

遺体はシリア北部のコバニ(アラブ名:アインアルアラブ)というトルコ国境の町から逃げてきた、アイラン・クルディという名の三歳の幼子でした。トルコから密輸組織の手配したボートでギリシャ領に向かうところ、転覆し、命を落としたものとみられています。

海岸でうつ伏せに横たわる痛ましい幼児の写真は、瞬く間に世界中に広がりました。
難民の受け入れを拒むヨーロッパの国々に対し、「人道的な恥」として非難する見出しの記事がSNSなどでも飛び交っています。
「打ち上げられたのは、我々が海に投げ捨てた人間の良心」とする痛烈なコメントも見かけました。

過激派組織ISによって国を蹂躙され、逃げる以外に選択の余地のない人々が、国境に押し寄せ、密輸組織に大金を払ってどうにか国外に脱出しても、そこから先に行くあてもなく、見知らぬ土地で差別を受け尊厳を傷つけられ、一縷の望みを託して乗り込んだ定員超えのボートは転覆し・・・そんな悲劇が今、現在進行形で進んでいます。
隣国として、トルコも大量に流れ込んでくる難民への対策は火急の課題となっており、ニュース、SNSともに時事を騒がせています。

CNNインターナショナルでゲストに招かれたエルドアン大統領は、このニュースで報道されている幼児の遺体の写真を見て打ちひしがれた、と語っています。そして、「全ての西洋諸国がこの件に関して有罪だと思う」と話しました。

以下、9月4日付けRadikal紙より抜粋・引用します。
***********************************************************
エルドアン大統領は、CNN記者からこの報道写真を見た時の感想を求められると、この写真を見た時家族と一緒で、子どもたちや孫たちもこの写真を見たこと、そして打ちのめされたと話した。

エルドアン氏は写真と対峙して、「人道はどこだ、人道的良心はどこだ」と自問し、この3歳の幼児の写真に涙したと語った。

「以前も残念ながら、地中海の荒れた波に数多くの子ども、母親、父親がおぼれ死んだ」と話すエルドアン氏は、ただしトルコ海岸警備隊が今年の初めから今まで地中海で5万人以上の人々の命を救ったことを指摘した。

写真:Radikal紙「ヨーロッパの難民を助けるためにあなたが支援できる12の団体」よりhttp://www.radikal.com.tr/radikalist/avrupadaki_multecilere_yardim_etmek_icin_destekleyebileceginiz_12_olusum-1427884

エルドアン氏はCNN記者の「誰のせいか」という質問に対し、「私は正直なところ、全ての西洋諸国が有罪だと思っている」と答えた。
「地中海を墓場に変えてしまった、という点で非難しているのですか?」という問いに対しては「実際にそのようになっている」と答えた。

地中海に面した各国がこういった難民を受け入れようとしていないことを指摘するエルドアン氏は、一方でトルコは国境に押し寄せる人々を客人として受け入れ、彼らを保護し、そのためシリアやイラクからトルコに入国した人々の数は200万人を超えたと強調した。

ギリシャ、イタリア、スペイン、フランス、ハンガリーなどの国々もまた、同様のことを容易にできるのにやっていないとするエルドアン氏は、今ドイツで同様の措置が取られていると話した。エルドアン氏は、ドイツのある大臣が、トルコの担当者が入国を受け入れた人々の内数名を選んでドイツへ送るといった内容の提案をしたことを、「これはどういったアプローチだ。理解に苦しむ」と批判した。

エルドアン大統領は、国の行政としても責任を負い、こういった人々に対し協同して対応し、生きるチャンスが与えられる必要がある、と強調した上で、
「先ほど見せられたような、あんな写真はもう見たくない」と付け加えた。

(アナトリア通信社)
*******************************************************************

【トルコ進出、トルコ進出コンサルティング、トルコ貿易投資支援の専用サイトはこちらから】