少し時間がたったが、昨年の11月にイスタンブールで開催されたレザーフェアーについても報告をしておきたい。トルコの皮革製品は実に素晴らしい。筆者自身、クツをはじめベルト、小物などの皮革製品を多く愛用している。スーツも何着かトルコでつくった。
日本のデパートやセレクトショップでトルコブランドの皮革製品を見ることも間近い気がする。
第7回イスタンブールレザーフェアが、11月21-23日、Tuyap Fair Convention &
Congress Centerで開催された。来場者数は13,000人。展示内容は、皮革/毛皮衣料品、鞄・クツ・ベルト・小物等の皮革製品、皮革・毛皮・原皮、なめし用化学品、なめし用機械、縫製機械、仕上げ設備、その他関連機器など。トルコ国内有数のレザーフェアとして毛皮と皮革業界の関係企業が一堂に集い、最新のファッション動向についての情報共有の場として、ビジネス交流も年々活発化している。ウクライナ、中国、エジプト、ロシア、日本など57カ国からの来場者が熱心にブースを回っていた。中国からのバイヤーが目立った。出展社の数は今回256を超えた。インド、米国、ノルウェー、ドイツなどのinternational
boothが活発な印象であった。イスタンブールには空港近くのCNREXPOと空港から1時間程離れたTUYAPの主に二つの展示会場がある。今回の開催地であるTUYAPは現在隣接する形でホテルが建設中である。
会場オープンと共に場内入りをした。まだ、そこかしこで、ディスプレー含め設営の準備がなされていた。意外とこういった場面に出くわすのも面白い。今回の展示会告知用ポスター等のイメージのファッションを纏っているモデルにもバッタリ(下記写真)。マネキンに商品を着せているところ、重機を入れて設置中のところ・・などなど。
ブースの作りは各社相当気合いが入っているというかお金をかけている。とりわけ、毛皮や皮革衣料を中心とする出展ブースは、事前にアポイントをとった企業と具体的なバイイングを行っているところが多い。でないとここまでブースの設営・装飾にお金は掛けられないと思われる。逆にトルコにとって「レザー」がいかに重要かつ大きな産業であることの証とも言える。
トルコ国内には主に3つの皮革のFTZ(free
trade zone)がある。通関などの諸制度を緩和し関税などを免除して、加工貿易や中継貿易を盛んにする目的で設置された自由貿易地域である。トゥズラFTZ(イスタンブール)、アヴルパ
FTZ(テキルダァ)、メネメンFTZ(イズミル)の三つ。
皮革衣料品については、イスタンブール、メネメン(イズミル)、チョルル(テキルダァ)、サリヒリ(マニサ)、アンタルヤを中心に約1500社の企業が存在する。
輸出額は約7億ドル(衣料2億3,000万ドル、バックなど1億1,000万ドル)を超え、ドイツ、スペイン、ロシア、フランス、イタリア、デンマーク、オランダ、英国などへ輸出している。
皮革製品は、マニサ、ウシャク、ボル(ニーデ)、ブルサ、デニズリ、クラ(マニサ)、サリヒリ(マニサ)、アンタクヤ、ウスパルタ、ギョネン(バルケシル)、ガジアンテップで生産し、バックなどはイタリア、ドイツ、英国、米国、フランス、ロシア等に輸出している。
靴はイスタンブール、イズミル、コンヤ、ガジアンテップ、アンタクヤ、トラブゾン、ウスパルタが主な生産地。原皮は、ボル(ニーデ)、ゲレデ(ボル)、マニサ、デニズリ、アンタクヤ、ガジアンテップ、ウスパルタの羊皮など。原皮はトルコ産のみならず、海外からも輸入している。よって、製品の輸出増で原皮の輸入増大となっている。
会場内風景であるが、思ったほど、トラフィック(人の行き来)は多いという印象ではなかった。スペースもゆったり取られているからかもしれない。竹を題材に空間を演出しているブースがあった。一瞬にして、和んでしまうのが不思議だ。2013年7月のIFF(インターナショナル・ファッション・フェア、東京ビックサイト)に出展していた靴メーカーGARDA
Shoesにでくわした。そのときのIFFにはトルコから3社11ブースの出展があったと聞いている。
日本とはブースのスケール、造形、装飾、ディスプレーが随分と異なる。斬新なブースが多い。ここのブースなどは一瞬、果物屋さんが出展しているのかと勘違いするほど。手前に果物、その奥に鞄、バッグなどの商品がおかれている。ブースの責任者らしき人に、「なぜ、こんなに果物が?」との問いに、「果物は自然の産物、われわれの商品も同じく自然に手に取ってもらいたいから」という答えが戻ってきた。来場者に好きな果物をどうぞという「おもてなし」の一貫もあり、果物をすすめつつ商品も自然にすすめるという、ある意味考え抜いた接客方法に感心した。ブース内もテーブルの上にスナックがおかれ、飲み物もサーブされ、非常に居心地のいいブースであった。もうひとつ、これは森の中の山荘かと思わせるブースもあった。手の込んだ自然を意識させるブースであった。
ここ最近、トルコ経済省、トルコ大使館商務部、トルコ地域の関連団体の継続した対日輸出努力が実って、製品の輸入はもちろん、日本の大手アパレルメーカーとトルコ企業との新企画商品などが百貨店や都内の有名セレクトショップにも置かれるようになってきた。製品づくりに加え、トルコならでわの珍しい素材や生地への日本企業の感心が膨らみつつある。やがて、そう遠くない将来、トルコブランドの製品が欧米のビッグブランドと同じ空間をしめる時代が来るものと思われる。それほどトルコのポテンシャルは高く、日本のいいパートナーと組むことでその可能性は現実のものとなるであろう。日本企業の皆さんにも是非現地の展示会に足を運んで欲しい。現地関連団体との交流も持って欲しい。
最後に、イスタンブールのこの展示会場Tuyapは大変ユニークで人間味を覚える。この展示会場には図書館がある。オフィスフロアーの一画がギャラリーにもなっていて興味深い絵や作品が置かれている。図書館に置かれている本は、ここTuyapの会長であるBullent Unal氏の蔵書である。非常に穏やかで品のある老紳士のUnal会長、高い経営手腕が評価されている。写真のお隣の女性はFerda Tuncer事務局長。今回、勤続何十年かでその功労を称えメダルを授与されたとのことでした。おめでとうございます!!
以上です。
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