2015年10月17日土曜日

欧州に押し寄せる難民 トルコが頼みの綱となるか。

<トルコとの貿易・輸出入、トルコ投資、トルコ進出を考える日本の企業様へ>


シリア難民をトルコは200万人以上受け入れている。筆者は8月、トルコ・アンタルヤの空港に早朝に向かった際、無数のシリア難民らが公園や広場のいたるところに折り重なるように横たわっている光景に出くわした。異様であった。タクシーの運転手が「シリアからだよ」と冷たく言い放っていたのが印象的であった。トルコの難民受け入れ能力はすでに限界と見られている。トルコをスルーして欧州へ流れ込む難民がさらに増える見込みである。

すでに10月末までに約71万人の難民がEUへ押し寄せている。先ほどのアンタルヤでの筆者の経験が物語るように最も多いのがトルコ経由で欧州入りを目指すシリア人難民。トルコ大統領・エルドアン氏の強権政治に対する否定的なEUではあるが、トルコの協力なしに難民危機の解決の糸口は掴めないとの見方が一般的となっている。

欧州委によると、トルコはEUに協力の見返りとして次の三つを求めているが、ビザ免除はすでに合意済みとなっている。
(1)10億ユーロではなく30億ユーロ(約4000億円)の追加資金支援
(2)EU域内への旅行のビザ免除
(3)EU加盟交渉の再開

今後、トルコはEU資金でトルコ国内に難民受け入れ施設の新設を進める。難民の就労容認、国境管理や不法移民の本国への送還の強化などが課題となる。
エルドアン政権は11月の総選挙を控へ、EUから最大限の支援を引き出すことは同政権にとって最大の加点となる。一方、EU側はトルコが約束通りの協力を遂行するかどうか100%信じ難いところもあり、両者の思惑が入り乱れているというのが現状ではないだろうか?


記事報道によると、EUのトゥスク大統領は「トルコとの合意は難民の流入が効果的に抑えられない限り、意味をなさない」としている。トルコが要求する10億ユーロではなく30億ユーロの資金支援の拡大やEU加盟交渉の再開は、トルコ側の協力の進展を見極めながら進めていく意向である。ドイツ・メルケル首相は1018日にトルコを訪問し、協力強化を探る構えである。

シリア国内には今なお400万人の難民がいると推計されている。

                〜 世界に衝撃を与えた難民の悲劇 〜


PHOTO: 上段左からEL PAIS、TROUW、THE GUARDIAN、下段左からLA STAMPA、DE MORGEN、THE TIMES

上記報道はすでにご存知の読者も多いと思う。9月4日のこのブログでも取りあげている。内戦で混乱を極めるシリアから家族と一緒に逃れてきた3歳の男の子がトルコの海岸に打上げられた遺体の画像は世界中に衝撃を与えた。長さ15フィート、僅か4.5メートルのボートはトルコのビーチリゾート、ボドルムからギリシャのコス島を目指していた。転覆事故でボートに乗っていた12人が死亡。世界中のメディアが溺死した男児の画像を様々なかたちで報じた。難民の救済に消極的だとして先進国に怒りの矛さきが向かっている。

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