トルコ国内ではこの8月に大統領選挙が行われる。経済の司令塔といわれ、トルコの近年の高成長の立役者として高い評価を得ているのが副首相のババジャン氏だ。今、トルコでは大統領選挙の行方と経済閣僚の動向が注目を集めている。ババジャン氏は日本語を勉強したこともある親日家として知られているが、そのことを知る人は少ない。2002年経済担当相、2007年外相を経て、2009年5月から今の副首相に。1967年生まれ、今年で47歳と若い。
アメリカのノースウエスタン大学で経営学修士号を取得しているこの若き有能な副首相は来年6月の国会任期満了で政界引退と囁かれている。国会議員の4選が禁止されているからに他ならない。同氏の去就が注目されるのは、派手さこそないもののIMF管理下にあるトルコ財政構造改革に誠実に取組み、増税など国民が嫌がる政治を実行してきたことが挙げられる。
一方、米国のブルームバーグ通信はエルドアン首相の言説には、経済学の「イロハのイの字」も理解していないと言及、仮にエルドアン氏が大統領になりババジャン氏がいなくなったら、今後、トルコの金融政策はどうなるのか? 今、そんな心配が市場を覆っている。
このババジャン氏、実は、2011年12月に日本を訪れ、日本・トルコ経済フォーラム「トルコビジネスの未来」で講演をしている。日本の積極的な対トルコ投資や貿易の活性化を求め、トルコに外国企業の投資を誘致するため、労働市場改革や法整備などを進める考えも明らかにした。
筆者も昨年5月、イスタンブールのテキスタイルの展示会のオープニングセレモニーでババジャン氏の話しを間近で聞いている。一切原稿なしで滔々と淀みなくトルコ・テキスタイルの現状と将来について来場者に力強く訴えかけていたのを思い出す。周りが用意した紙を見ながらしゃべり答弁する日本の政治家が圧倒的に多い中で新鮮さと小気味よさを感じたのを覚えている。
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