日経BP社は先月2日、トルコの出版社Mutlu Dergi Grubu A.S.(MDG社)を買収し、トルコでの出版事業に乗り出す。日経BP社の長田公平社長とMDG社の創業者であるザフェル・ムトゥル氏が、イスタンブールで共同記者会見の席で発表を行った。増資分を含め買収額は1200万トルコリラ(約6億円)。日経BPが80%を出資し経営権を握る。社名は「日経MDG社」とする。
日経BP社といえば日経ビジネス
本社はイスタンブールに置く。日経本体のイスタンブール支店が設置されたのは約2年前。日経新聞に続き、日経BPが引き続きトルコに攻め入る動きに注目すべきである。増してや、日本の出版社がトルコ企業を買収するのは初めて。MDGの従来の雑誌事業を引き継ぐこと、また、デジタル事業を強化し、医療や建設などの専門情報の提供を行い、セミナー開催も視野に入れた展開を計画しているという。
日経BPが買収に動いたのは、トルコの経済成長が続き「日経BP社が培ってきた技術系情報の潜在的な需要がある」(長田公平日経BP社長)との判断による。
MDG社はとりわけ技術系部門の経営資源の相乗効果に期待を寄せている。
MDGは 米タイム誌からライセンスを得て、経営誌の『フォーチュン』、ファッション・生活系の『インスタイル』『マーサスチュアート・ウェディング』など有名誌のトルコ語版を発行している。日経BPはこれら既存事業を引き継ぎ、今後、デジタル事業を強化していく。
ムトゥル氏はトルコメディア界の有力者で、これまで大手新聞社の経営や私立大学の運営も手掛けてきた人物。日経MDG社の社長に就任し、日経BP社の長田社長が日経MDG社の取締役会議長に就任するほか、同社の代表権を持つ上級副社長を日経BPから派遣する。
今後の動向に注目したい。
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