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イスラム暦の12月10日に始まるクルバン・バイラム(犠牲祭)は、トルコの二大連休のひとつ。旧約聖書に基づく宗教的な祝祭日で、次の故事がその由来となっています。
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その昔、信仰心篤いイブラヒムが、神から「自分の最も大切なものを生贄に捧げよ」との命を受けました。イブラヒムは悩んだ末に、アッラーの思し召し通り息子イスマイルを手にかけようとします。その時、イブラヒムの忠誠心を見て取った神から雄羊が届けられ、イブラヒムは息子の代わりに羊を神への供物として捧げることができました。
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バイラム(祝日)は通常4日間とされ、公的には今年のクルバン・バイラムは9月12日(月)~15日(木)となっていますが、16日(金)も休みにして、土日含めて9連休にしているところが多いようです。
従来クルバン・バイラムでは、生贄とする羊やヤギ、牛などを生きたまま売買し、シメて解体して貧しい人々にもおすそ分けをする喜捨のイベントでした。羊が道端で解体されるスプラッタな光景も一種の風物詩でしたが、近年ではそういった行為を野蛮・残酷・不衛生などと見なす風潮も出てきて、都市部では指定された場所以外での解体は禁じられているようです。
それでも毎年バイラムの前になると、地方の羊飼いや牛飼いが家畜を連れて都市部にやってきて、「クルバン・パザール」という市を開きます。駐車場を借りてテントを張り、何十頭もの羊や牛がそこで一般向けに売り買いされます。
牛の場合は8,000-9,000リラ(約27~31万円)から27,000リラ(約93万円)、羊やヤギだと500-700リラ(約17,000~24,000円)から1200-1700リラ(約4万~58,000円)くらいが今年の相場だそうですが、今年のクルバン・パザール、売り手はかなり厳しい状況に追い込まれているようです。輸送費や場所代が昨年の倍に跳ね上がっており、しかも買い手も減っている。50頭連れてきて一週間で1~2頭しか売れないなんて話もザラで、必要経費すら捻出できないのではないか、と危惧する声もチラホラ。そもそもこうした伝統行事のために生贄を購入する層は、貧しくも信心深い人々が多く、月々の生活費とは別にクルバンのために毎月少しずつ積み立てているのだそう。値上がりによりそうした人々が一頭買いする余力がなくなってしまっている、という見方も。
「クルバン・パザール」で閑古鳥が鳴いている一方、都市部で盛り上がっているのはAVMと呼ばれるショッピングセンターです。高度経済成長の証明と言わんばかりに近年続々と数を増やしているAVM。お正月と同様、バイラムは洋服を新調したりギフトを用意したりする商戦期であり、しかも今年のクルバン・バイラムの時期は新学期直前、バイラム明け=新学期スタートというタイミングが重なって、新学期応援値下げ合戦が繰り広げられています。衣料品から家電まで、あらゆるカテゴリーで売り上げが前月比15-20%伸びているのだとか。あるショッピング・モールでは、バイラムの前日に「伝説のディスカウント」と称して終日70%OFFを実施、結果一日で7万人が押し寄せたそうです。
伝統的なイスラム社会の祝日も、時代とともに様相が変わってきているようですね。
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