少し前、この「トルコの今」のコーナーで、ユニクロ国井副社長が2014年9月に「Istanbul Fashion Conference」で講演した内容を紹介した。国井氏は「トルコをヨーロッパ市場への輸出の生産拠点とする」という意思を表明。「ユニクロは年間10億ユニットの製品を生産し製造は主に海外で行っている。10月、新しい事務所をイスタンブールで始めた際には、トルコをヨーロッパにおける販売に向けた製品の生産拠点とする計画」であると述べた。
更に国井氏は「ユニクロは現在の生産量10億ユニットを5倍にすることを目指し、トルコはインド・中国・米国・東南アジアに続き、5番目の生産拠点となる予定。トルコを通して、ヨーロッパと米国のファッションを生み出しているヨーロッパ諸国の貿易運営を築いていこうと思っている。ユニクロはトルコの衣服産業を高く評価し、長期の提携を形成したいと思う」と続けた。
今朝(2014/12/20)の日経の記事で、ユニクロを率いるファーストリテイリング(FR)会長兼社長の柳井正氏のインタビュー記事が紹介されている。記者の質問に柳井氏は「トルコでもこのほど生産に向けて事務所を開いた。トルコは繊維が主力産業で親日国でもある。中東や東欧、アフリカに近く地理的にもいい。まずは、仕入れ先として生産からはじめ、将来は小売もしたい」と述べている。
ニューヨークのユニクロ(写真:筆者)
<FRの戦略>
2020年度に5兆円の売上高を目標に掲げるFR。2014年8月期の3.6倍である。ユニクロの店舗数は中国330、東南アジア90に達する一方、米国40、欧州20に留まっているのが現状。柳井氏は「これからが本番だ。中国と東南アジアにそれぞれ100店を出したい。欧州と米国でもそれぞれ30店づつ増やすのが理想」とする。そのためには「これから世界で物流やブランドの価値を変え、本当の意味でのグローバルカンパニーになる」と断言。
柳井氏のグローバル展開に向けての考えは、「グローバル化が進むほど、店舗は地域の事情に合わせるローカル対応が大事になる。店員が自分の使える時間や人生観に合わせて働ける環境をつくる」。また、「世界中の会社とイノベーション(革新)を進めたい。行動出資の形もある。大型のM&A (合併・買収)は企業文化やコスト、タイミングがよほど合わない限りはない。ただ欧米でももっと多くのブランドを持ちたいので、経営者がしっかりしている繊維やアパレルの会社ならM&A の可能性がある」とする。
ニューヨークのユニクロの店内。
日本の店舗とはスペース、ディスプレイなど大きく異なる。
FRの2014年8月期の連結売上高(国際会計基準)は1兆3829億円。FRは中間目標として2017年8月期に2兆5000億円を掲げる。今後3年で1兆円強の売上の上積みが必要となる。そんな背景もあって、前述の通り、中国、東南アジア、欧州、米国、更にトルコやインドといった国への進出が必須条件となってくる。
海外事業での売上高比率が4割に迫って来ているFRの今後の喫緊の課題となるのは、出店場所の確保はもちろん、人員の採用・育成などがある。国内での新入社員の即戦力化のユニクロの取組みが離職率を高める結果を招いたことは記憶に新しい。本来的には今も昔も古今東西、新卒で即戦略となる人材など滅多にいないと考えるのが無難ではないだろうか。
ともあれ、ユニクロには日本が誇る「本当の意味でのグローバルカンパニー」になって欲しい。
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