3月30日の統一地方選挙で、与党AKPが勝利宣言をしてから1ヶ月近くが経とうとしている。当時、エルドアン首相は「与党が勝利すれば、汚職疑惑よりも、現政権が景気や医療、交通面の改善に成功したことに国民が関心を示したことになる」と述べていた。選挙で勝利した後、イシレル副首相は「国民は嘘と中傷によるキャンペーンを無視し、投票によって平和と安定を支持した」と胸を張った。トルコは、エルドアン政権の強引な政治や保守的なイスラム教の価値観に基づく政策への懸念を抱えたまま、突き進んでいくこととなる。そして、この8月には大統領選がある。エルドアン首相の出馬も取り沙汰されている。
8月10日にはギュル大統領の7年の任期満了を受けて、国民投票による大統領選挙が行われる。初の直接選挙方式となる。これまで大統領は議会が選出していたが憲法の改正により、国民が選ぶこととなった。任期は5年。ギュル大統領は再度出馬することもできるが、まだ態度を明らかにしていない。現在、トルコの大統領職は名誉職的な位置付けにある。今後更なる憲法改正で大統領が権限・実権を持つようになるとも言われ、エルドアン首相がどう出るか目が離せない。
さて、トルコ経済だが、2013年のトルコの経済成長率は景気回復が加速した結果4%で着地した。それに伴うわけでもないが、近年、トルコへの関心がこれまで以上に高まっている。一昨年5月に日本経済新聞社はイスタンブールに支局を置いた。トルコに関する記事が数多く配信され、トルコ特集も組まれるようになった。トルコに関する情報が少ないだけに、日経の情報は助かると日本企業から直接筆者が聞いたのも1度や2度ではない。ある銀行系シンクタンクの担当者も明らかにトルコ進出に伴う相談件数が増えていると明かしていた。
その担当者によると、「トルコは日本にとっても魅力あるイスラム国家」。つまり、トルコは高成長が期待できる中東や中央アジアに近く、既にそういった国々と強い経済・ビジネス関係を構築している点が魅力と指摘する。日本企業が出遅れ気味な地域に対して、進出済みのトルコ企業と組むことは市場参入において有効かつ有力な方法である。一方、トルコ側も日本の技術力や資金力に期待をかけ、「ウィン・ウィン」関係を築けるビジネス・パートナーであることが両者の距離をより近づけているといえる。
0 件のコメント:
コメントを投稿