2014年5月24日土曜日

トルコ・日本友好ゆかりの地で講演をしてきました

昨日、わかやま産業振興財団と和歌山県主催のセミナーで講演をしてきました。

セミナーとその後の交流会に参加させていただき、地元の皆さんと近しくお話しをさせていただきました。県は毎年地元からトルコにビジネスミッションを送り込み実質的な結果をもたらしている極めて優秀で稀な県です。

1890年に起こったトルコの軍艦、エルツゥールル号の遭難事故と和歌山県串本の人たちの献身的な救助・支援が今のトルコと日本の友好関係がうまれるきっかけとなったことはよく知られるところです。

今のギュル大統領が2008年6月にトルコから初めての大統領として和歌山県串本を訪問したことからもその関係の深さが窺い知れます。といいますか、トルコの人たちのその恩を忘れない国民性を示すものと言えます。

講演会の模様を以下から垣間みることができます。


NHK和歌山

テレビ和歌山

和歌山放送


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2014年5月1日木曜日

国際ホームテキスタイル展示会

国際ホームテキスタイル展示会ご招待のお知らせ
20th International Home Textile Fair

フェアーウェーブページ:http://cnrevteks.com/Default.aspx?ln=2
商務部展示会ご招待のお知らせページ:http://www.musavirlikler.gov.tr/haberdetay.cfm?HaberID=17639&dil=EN&ulke=J

2014 521-25日にかけ、イスタンブルにてホームテキスタイルの国際展示会が開催されます。
昨年は日本から10数名の皆さんが参加されました。

今回もトルコ共和国経済省の支援により、ホテル宿泊代と現地移動に伴う送迎サービス等が無償提供されます。日本-トルコ間の航空運賃は各自負担となります。

参加を希望される方は57日までに、申し込み書に必要事項をご記入の上、トルコ大使館商務部までお送りください。

ご質問等は直接、下記宛お問い合わせください。皆様のご参加をお待ちしております。
 (FAX03-3470-6280 e-mail: dttok@turkey.jp

<スケジュール>
519日(月)              イスタンブール着
520日(火)              トルコ企業との顔合わせ
521日(水)              展示会・工場見学 等
522日(木)     イスタンブールより帰国

皆さん、是非、この機会をご活用ください。

楽しい意義あるトルコ訪問となることを期待しております。

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2014年4月29日火曜日

エルドアン首相とギュル大統領の駆け引き

昨年末に相次ぎ発覚した汚職疑惑があったにもかかわらず、エルドアン首相率いる与党・公正発展党が3月30日の統一地方選挙で勝利を収めた。TwitterYoutubeへの国家統制を強め、世間の耳目を集めたことは記憶に新しい。以下の写真は、統一地方選挙が終わりその結果に不満を持つ野党支持者が集まったところに警官隊が放水しているところ(首都アンカラ)。

                                          写真はAssociated Pressより

この前の「トルコの今?」のコーナーでも書いた通り、8月の大統領選を前にトルコの政治情勢は不透明感が漂い、大統領選を見据えた政治の有様(ありよう)も不安定である。エルドアン首相も出馬を視野にいれ、現職ギュル大統領も再出馬の可能性ありとも言われている。つまるところ、エルドアン首相は出馬せずそのまま今の首相職に留まるか、ギュル大統領が現首相のために身を引くか、この選択が注目を集めている。

ここで、よく引き合いに出されるのが、ロシアの「プーチン⇄メドベージェフ型」の権力交換である。いっとき、エルドアン首相が大統領となり、ギュル大統領が首相となるシナリオも描かれていたようだが、ギュル大統領が反対を表明したことでその可能性は低くなった。

以前、トルコ在住のある有識者は、個人的な見解という前置きで、「エルドアン首相が目指しているのはアメリカの大統領のような真に権力を有する大統領職に就くことでは」と言及していたのを思い出す。米国の大統領職は、世界で最も強大な権限を持つ職務のひとつ。行政・立法・司法・外交の広範囲に渡って強力な権限が集中するのが米国の「大統領職」、つまり「PRESIDENCY」である。


トルコでは行政の長は首相で、大統領よりも強力な権限を持つが、米国の大統領職とは歴史的背景も異なり比べるべくもない。エルドアン首相は憲法改正によって、より強力な大統領制を目指そうとしているとも聞く。新聞報道によると、エルドアン首相は「トルコが大混乱(chaos)に陥るようなことはしない」と発言し、与党内の議論やギュル大統領との対話を経て、最終的な判断をしたい意向を表明している。

いずれにせよ、今後のトルコの政治情勢が気になる。注目が必要だ。

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2014年4月26日土曜日

8月10日、大統領選挙へ

3月30日の統一地方選挙で、与党AKPが勝利宣言をしてから1ヶ月近くが経とうとしている。当時、エルドアン首相は「与党が勝利すれば、汚職疑惑よりも、現政権が景気や医療、交通面の改善に成功したことに国民が関心を示したことになる」と述べていた。選挙で勝利した後、イシレル副首相は「国民は嘘と中傷によるキャンペーンを無視し、投票によって平和と安定を支持した」と胸を張った。トルコは、エルドアン政権の強引な政治や保守的なイスラム教の価値観に基づく政策への懸念を抱えたまま、突き進んでいくこととなる。そして、この8月には大統領選がある。エルドアン首相の出馬も取り沙汰されている。

8月10日にはギュル大統領の7年の任期満了を受けて、国民投票による大統領選挙が行われる。初の直接選挙方式となる。これまで大統領は議会が選出していたが憲法の改正により、国民が選ぶこととなった。任期は5年。ギュル大統領は再度出馬することもできるが、まだ態度を明らかにしていない。現在、トルコの大統領職は名誉職的な位置付けにある。今後更なる憲法改正で大統領が権限・実権を持つようになるとも言われ、エルドアン首相がどう出るか目が離せない。

さて、トルコ経済だが、2013年のトルコの経済成長率は景気回復が加速した結果4%で着地した。それに伴うわけでもないが、近年、トルコへの関心がこれまで以上に高まっている。一昨年5月に日本経済新聞社はイスタンブールに支局を置いた。トルコに関する記事が数多く配信され、トルコ特集も組まれるようになった。トルコに関する情報が少ないだけに、日経の情報は助かると日本企業から直接筆者が聞いたのも1度や2度ではない。ある銀行系シンクタンクの担当者も明らかにトルコ進出に伴う相談件数が増えていると明かしていた。


その担当者によると、「トルコは日本にとっても魅力あるイスラム国家」。つまり、トルコは高成長が期待できる中東や中央アジアに近く、既にそういった国々と強い経済・ビジネス関係を構築している点が魅力と指摘する。日本企業が出遅れ気味な地域に対して、進出済みのトルコ企業と組むことは市場参入において有効かつ有力な方法である。一方、トルコ側も日本の技術力や資金力に期待をかけ、「ウィン・ウィン」関係を築けるビジネス・パートナーであることが両者の距離をより近づけているといえる。


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2014年4月4日金曜日

トルコ統一地方選挙結果


330日、トルコで統一地方選挙が行われました。

投開票の結果、第一党のAKP(公正発展党)45%を上回る最大得票率で他の政党を大きく引き離し、圧勝しました。


昨年5月末からのトルコ全土にわたる大規模デモの火は未だくすぶり、12月の現職閣僚子息の汚職摘発に続き現首相の電話盗聴音声テープの流出、選挙直前には現政権によるソーシャルメディアの強行遮断など、混乱に次ぐ混乱のトルコ内政。AKP及びエルドアン首相に対する市民の支持は完全に二分されているかの態でしたが、結果はエルドアン首相が民意を得たという形になりました。

世俗派が集中しているチャナッカレやイズミールなど数都市と、クルド系政党が強い東部を除き、アナトリア内陸部はほぼAKP一色。やはりイスラム保守層のAKP支持は固いようです。また、AKP圧勝のポイントとして、エルドアン首相の「リーダーシップ」と「パフォーマンス」が挙げられています。一方では「強権的」ともされるエルドアン首相の政治手法ですが、彼に代わる「強いリーダー」が現れない限り、この分厚い保守層の壁はなかなか崩れないのかもしれません。


ひとまずは、これでトルコの政局は一旦の安定を見た…のであれば良いですが。



ところで、今回の選挙で目を引いたのは、記録的な得票率で市長に選出されたクルド系野党BDP(平和民主党)所属の女性政治家たちの存在です。

 
シュルナク県ジズレ市長に選出されたレイラ・イムレット女史(27は、5歳の頃に父親が目の前で殺害されて以来家族でドイツに移住、今回立候補のため故郷ジズレに戻り、83%の得票率で市長となりました。

もう一人、ディヤルバクルのリジェ市で91%の票を集めたのは、25歳のレザン・ズウルリ女史。ディヤルバクルのバーラル市役所の付属機関に勤務の傍ら、ディジレ大学ラジオ・テレビ番組制作科に合格、現在も学業継続中。

 



 

…いずれも美女です(鼻息)!!

 

BDPの躍進が、トルコ国内のクルド諸問題をさらに解決の方向へと導き、また女性や若手の政治参加のモデルケースとなってくれることを期待します。

 

2014年3月18日火曜日

トルコ産オリーブオイル


今回、FOODEXで担当した会社はオリーブ製品を扱うNATURALE GIDA、なかでもSELETEPEというブランドのエクストラ・バージン・オリーブオイルを皆さんにご紹介しました。
 

 


 
通訳の楽しみの一つに、それまで知らなかった様々な世界を垣間見れる、ということがあります。オリーブオイルは、もちろん自分でも好んでよく使用しますが、実はバージン・オイルとエクストラ・バージン・オイルの違いもよく分かっていませんでした。

今回、同社ブースを担当するにあたって、事前に調べてみたり、担当者からブリーフィングをしてもらうことで、オリーブオイルの奥深い世界を少しばかり覗くことができました。


オリーブの実から搾油しただけの、未精製で酸度が2%以下のものを、総じて「バージンオイル」といいます。中でもとりわけ酸度が低く、0.8%以下のものを、特に「エクストラ・バージンオイル」と呼びます。この基準はIOOC(国際オリーブオイル協会)により規定されています。(ただし、オリーブオイル生産者によると、「これはあくまで科学的な数値に過ぎず、味や香りに何ら影響しない」のだそうです。)

他に「ピュア・オリーブオイル」や単に「オリーブオイル」と記載されているものは、脱臭・脱色された精製オリーブオイルにバージンオイルをブレンドしたものです。

 
地中海性気候のトルコは、オリーブの生産には非常に適しております。

特に、SELETEPEのオリーブ園があるエーゲ海沿いのアイワルクは、「トルコのトスカーナ」と呼ばれるほどの名産地なのだそう。こちらのブランドはオリーブオイルには珍しいシングル・モルトで、そのフルーティーな味わいはQV EXTRAという高品質なエクストラ・バージン・オリーブオイルの国際認定団体に認められたほど。

SELETEPEに限らず、トルコのオリーブオイルは品質もよく比較的安価で、現在トルコの海外輸出強化品目の上位に入っている重要分野です。

 

実際、トルコの朝ごはんでオリーブの実は欠かせませんし、サラダでも何でもとにかくオリーブオイルをかけまくる…という印象。

 

だったのですが。

 

クライアントに実際のトルコにおけるオリーブオイルの消費動向を聞いてみたところ、実はトルコはEU各国に比べて最もオリーブオイルの消費が少ないのだそうです。大体一人頭で年間1.5L程度とのこと。あんなに何でもオリーブオイルかけてるのに!?と驚きました。

もちろん、オリーブオイルは大変好まれます。が、いかんせん他のオイルに比べると高価。
特に昨年は世界的にオリーブの収穫高が低く、価格が高騰したそうです。

貧富の差が大きなトルコでは、低所得者層の家庭ではより安価なひまわり油やヘーゼルナッツ油が消費されているし、レストランなどでも「オリーブオイル」と謳いながら実は安価な油を混ぜていたりすることも多々あるのだそう。また、マーガリンの出現もオリーブオイル離れの原因になっている、とも話していました。
 

SELETEPEのオーナーはそのような状況を憂い、

「より健康に良く、高品質なオリーブオイルの味を広めたい」と熱っぽく語っておりました。
 
ご家庭では一人頭年間30kgはオリーブオイルを消費していると言うSELETEPEオーナーご夫妻のこのスレンダーな体型が、オリーブオイルの健康への有効性を雄弁に物語っているように思うのです…。


 

ところで…オリーブオイルは実はかなりワインに「似て」います。

ブドウの果汁をいつでも飲めるように保存加工したものがワインであるならば、オリーブの果汁を年間通して利用できるよう加工したのがオリーブオイル。

同じ品種でも栽培する土地の土壌や気候で大きく味が変わるところも同じ。

また、テイスティングの仕方も、プロのやり方はとても良く似ています。

小さなグラスに注いだオイルを手で蓋をして手の中で少し温めて香りを立ててから味わう。

オリーブオイルの場合、色味に左右されないよう色付きのグラスを用いるのがより本格的。

 

どちらもトルコという土地が古代から受け継いでいる、先人たちの知恵の結晶です。

まだお試しになっていない方は、ぜひ一度、トルコのオリーブオイルを味わってみてください。

2014年3月11日火曜日

ハラール需要の謎

34日から7日に開催されたFOODEX JAPAN 2014
トルコからは、今年は昨年を上回る33社の企業が参加しました。







今回私はトルコのエクストラ・バージン・オリーブオイルを生産・販売する会社のブースで、4日間通訳としてお手伝いをしました。


オリーブオイルひとつ取っても、様々なお客様・様々なニーズがあるものと、大変勉強になりました。

中でも今回最も興味深かったのが、『ハラール認証』に関する問い合わせです。


FOODEX第一日目、パキスタン人のお客様から

「このオリーブオイルはハラールか?」

と尋ねられました。


念のため、ここで「ハラール食品」について今一度確認しておきます。

ハラール(HALALとは;
イスラム法で許された項目をいう。主にイスラム法上で食べられる物のことを表す。(ウィキペディアより)

 
食品に関しては、酒など中毒性のあるものは当然禁忌(ハラーム)ですが、特に区別を求められるのは普通食肉です。豚が禁忌(ハラーム)であることはもちろん、餌の内容にハラールに違反するものが入っていない、また屠畜の方法など細かい規定があり、一般に「お祈りしてある肉かどうか」が判断基準とされます。また、ショートニングやゼラチンなど、豚由来の成分が含まれたお菓子も禁忌(ハラーム)であり、イスラム教国では受容されません。
最近は日本でもサービス業側の「ハラール」に対する認識が広まってきたのか、食品やレストランなどでの「ハラール」表記が増えてきている気がします。
 
さて、しかし。

今回お問い合わせがあったのは、純度100%のエクストラ・バージン・オリーブオイルです。一から十まで植物性で、ハラールハラームとは全く無関係の食品分野。
尋ねられたクライアントも「???」とさっぱり訳が分からない顔。

「オリーブオイルですから、もちろんハラールに決まっておりますが…?」
と答えても、どうも会話がかみ合わない。
おかしなことを聞く人がいるものだ、と首をかしげて終わった第一日。

二日目、今度は韓国人のお客様から

「このオリーブオイルはハラールか?」

と同じ質問を受けて、これは一体どういうことかと、近所のブースのトルコ人たちと話題になりました。
 
しかし誰もが、

「植物にハラールもへったくれもあるものか」
「ハラールが何だか分かっていないだけじゃないのか」
「収穫の時に祈りながら収穫する必要でもあるのか?」

など、結局最終的な結論は出ませんでした。

そして三日目。

今度は日本人のプレスの方から
 
「このオリーブオイルはハラールですか?」

と尋ねられるに至り、ついに私は意を決して、今回数名のお客様から同様のご質問を受けているが、完全植物性の食品におけるハラールとはどういう意味か尋ね返してみました。
すると、

「実は、ちょうど先ほどハラール食品に関するセミナーを聞いてきまして…」
と、ざっくりしたことを教えて下さいました。
 

要は、イスラム圏で生産・販売・消費されるものは当然ハラールなので逐一「ハラール」と明記する必要はないけれども、国外に輸出されると、その食品がどういった環境で製造されているか消費者には見えてこない。ゆえに、消費者が安心して手に取れるための『ハラール認証』への需要が急上昇している、ということでした。従って、改めて製品に関してお祈りしたりする必要があるわけではなく、単純に「認証」を出してもらえば良いだけのことなので、トルコ企業はTSE(トルコ規格協会)に申請すれば良いのだそう。
ただ、今現在、ハラール認証は国ごとに設定されており、国際規格がないということが状況をより複雑にしている模様です。SMIIC(イスラム協力機構)で統一の認証制度を設けることが目下の課題となっているのだそうです。

実は、昨年のFOODEXハラールに関するお問い合わせが全体的に非常に多かったらしく、ハラール・フードは今年のFOODEXの最重要テーマの一つでもあった模様。

非イスラム圏に暮らすムスリムにとって、≪食の安心≫を確保することがかくも重要な問題であること、またその需要がますます膨らんできている現在の社会情勢について、今更ながらに考えさせられた『ハラールの謎』でした。