ラベル トルコ、政治 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル トルコ、政治 の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2015年11月5日木曜日

トルコ総選挙結果

<トルコとの貿易・輸出入、トルコ投資、トルコ進出を考える日本の企業様へ>

11月1日に行われたトルコのやり直し総選挙は、結果として現与党の保守派AKPが政権を奪還して幕を下ろした。6月7日の総選挙で過半数割れを起こしたAKPは、他党との連立協議が難航し、今回やり直しという博打に出たわけだが、今回はどうにか威厳を保つことに成功した形である。

6月との比較で見てみると、クルド系左派HDPと右派MHPから票を取り戻したようである。

【6月】AKP:40.87%  CHP:24.95%  MHP:16.29%  HDP:13.12%
【11月】AKP:49.49%(▲)  CHP:25.31%(▲)  MHP:11.90%(▼)  HDP:10.76%(▼)

6月以降、トルコ政府はスルチでの自爆テロへの報復としてシリア領内のISを攻撃するとともに、クルド系組織への攻撃も強めた。頻発するテロ事件の中で、ドサクサ紛れにクルド人への憎悪を掻き立てHDPの勢力をそぎ落とそうという意図も感じられなくもない。実際に、トルコ国内の内政事情の悪化が民族主義的な対立構造にすり替えられた感があり、それはまるで、9.11以降世界中が『キリスト教vsイスラム教』の対立を煽った状況とよく似ていると思う。決して宗教対立ではないはずの争いが、このフレームに当て込まれて報道され、解釈され、拡散し、「イスラムヘイト」「イスラモフォビア」といった次の悲劇を生む図式である。実際に、トルコ国内ではテロへの抗議や平和デモなどの動きに対して民族主義的な一派が衝突するなど、世情は不安定さを増している。クルド人居住地域ではクルド人への軍部による弾圧も行われるなど、和平交渉は事実上棚上げ状態である。

今回の選挙結果を6月と比較したときに、右派(MHP)と左派(HDP)から保守(AKP)に票が流れ込んだ状況は、民族的な対立構造が深まることに嫌気がさした人々が安定を求めた結果と言えるのかもしれない。

ちなみに、国外居住者による在外投票結果というのもあって、こちらがその国によって全く得票率が異なっており、大変興味深かった。
以下、各国ごとの得票順位と%を記してみる。

アメリカ:①CHP49.3% ②HDP22.3% ③AKP20.0% ④MHP5.7%

カナダ:①HDP:34.6% ②AKP30.6% ③CHP29.8% ④MHP3.3%

オーストラリア:①AKP47.8% ②CHP27.7% ③HDP17.4% ④MHP4.6%

日本:①HDP46.7% ②AKP37.8% ③CHP11.3% ④MHP:2.6%

中国:①CHP46.4% ②AKP23.4% ③HDP17.6% ④MHP9.6%

ロシア:①CHP42.3% ②AKP27.2% ③HDP19.8% ④NHP8.7%

ドイツ:①AKP59.7% ②HDP15.9% ③CHP14.8% ④MHP7.5%

オーストリア:①AKP69.0% ②HDP13.0% ③CHP9.8% ④MHP6.3%

フランス:①AKP58.4% ②HDP25.8% ③CHP8.6% ④MHP5.3%

イギリス:①HDP54.5% ②CHP21.4% ③AKP20.2% ④MHP2.4%

オランダ:①AKP69.7% ②CHP11.7% ③MHP9.1% ④HDP7.9%

スイス:①HDP45.7% ②AKP29.1% ③CHP17.8% ④MHP5.6%

イタリア:①HDP36.9% ②AKP36.8% ③CHP22.7% ④MHP2.1%

サウジアラビア:①AKP58.7% ②CHP31.3% ③HDP5.4% ④MHP2.9%

・・・まだまだあるが、キリがないのでこのあたりで打ち止めにする。

こうしてみると、国外居住者の間ではCHPとHDPの得票率が高い国が目立つ。
※CHPが1位:アメリカ・中国・ロシア/HDPが1位:カナダ・日本・イギリス・スイス・イタリア

一方、AKPが1位となっている国は、二位以下を圧倒的に引き離しているところが目立つ。
※ドイツ・オーストリア・フランス・オランダ・サウジアラビアなど

国ごとのトルコ系移住者のメンタリティやそれぞれのコミューンのあり方などに違いがあるのだろうか。大変興味深い。

<情報元>
http://secim.haberler.com/2015/


【トルコ進出、トルコ進出コンサルティング、トルコ貿易投資支援の専用サイトはこちらから】










2015年10月28日水曜日

トルコ在外投票乱闘騒ぎの後始末

<トルコとの貿易・輸出入、トルコ投資、トルコ進出を考える日本の企業様へ>

11月1日に予定されているトルコの総選挙に向けて、トルコ国内は非常に緊張した状態が続いている。

6月7日の総選挙のやり直し選挙となるのだが、予想としては、前回同様の結果となるか、与党AKP(公正発展党)が僅差で過半数を獲得し現政権に居座るか、全く読めない状況である。
もし過半数割れした場合には最大野党のCHP(共和人民党)と、今勢力を急激に伸ばしているクルド系政党HDPが連立を組む可能性もあるし、CHPとMHP(民族主義者行動党)の連立をHDPがバックアップするという可能性も。さらに新たなリーダーとして前大統領アブドュッラー・ギュル氏や前副首相アリ・ババジャン氏の名前も巷ではささやかれている。
先日のアンカラにおける自爆テロ事件に端を発し、現与党に対する不満やそれに反発する保守派の対立は全土に広がっており、民族的な対立が表面化するなど混迷を極めている。

まさかその緊張が日本にまで飛び火してくるとは誰も想定していなかったが、10月25日の日曜日、在外投票のためトルコ大使館前に集まったトルコ人とクルド人の間で乱闘騒ぎが発生し、止めに入った警察官を含む9人が重軽傷を負った、というニュースが報じられた。

このセンセーショナルなニュースには報道各局が飛びつき、トルコの内政事情について日本人の関心が向けられることになった。トルコの現在の情勢に不安を覚えた人も多いかもしれない。

しかし一方で、次のような後日談をライブドアニュースがひっそりと伝えてくれている。
http://news.livedoor.com/article/detail/10752037/
『騒ぎの後でゴミ拾いをするトルコ人たち』

以下一部抜粋。↓↓↓
***********************************************************************
午後になって騒動が収束した後も機動隊が大使館の前に集まり、物々しい警備が続いていたが、その間を縫うようにして数人のトルコ人が大きなゴミ袋を手にあちこちを歩き回っていた。見ると、乱闘の際に相手に投げ付けて散乱したペットボトルや缶などを、一つ一つ手で拾い集めていた。
***********************************************************************

ブラジルのワールドカップで、日本×コートジボワール戦の後に日本人のサポーターがスタンドのゴミ集めをしたことが世界的に報じられたが、それに類する美談ではないか、と思う。

トルコ人のメンタリティーには『恥(AYIP:アユップ)』という概念が非常に根強くある。
誇り高い国民性は、この『恥』を恐れるところに起因する、というのも過言ではないように思われる。
そういう意味でも、日本人として共感を覚えずにはいられない。

残念なニュースばかりでなく、こういった部分も多く日本のメディアに伝えてもらいたいものと思う。

それにしても、日本の在外選挙にはこれほどの人が日本大使館の前に集まるものだろうか。
トルコ人の政治参加への意識の高さには本当に敬服してしまう。

【トルコ進出、トルコ進出コンサルティング、トルコ貿易投資支援の専用サイトはこちらから】

2015年8月24日月曜日

トルコ、早期総選挙は11月1日?

6月に行われた総選挙で現与党のAKP(公正発展党)が単独政権を維持できなくなり、連立政権による組閣が待たれておりましたが、第二党であるCHP(共和人民党)・第三党のMHP(民族主義者行動党)との連立協議は難航し、ダイウトオール首相は8月18日、組閣断念をエルドアン首相に正式に報告しました。

法改正して大統領権限を強化したい意向のAKPと、大統領の権限強化に反対する他党との考えの違いが明らかになった形です。

これを受けて、エルドアン大統領は21日、「早期総選挙の日取りは11月1日」と発表しました。
「現行の憲法に則り、総選挙後45日以内に組閣がなされなければ、大統領権限で再選挙を決定することができる。期日となる月曜日に国会議長と改めて打ち合わせを行い、早期総選挙に持ち込むこととなるだろう。」

http://www.internethaber.com/erken-secim-ne-zaman-erdogan-tarihi-verdi-808528h.htm


6月の総選挙以来、トルコ国内は大いに揺れています。
総選挙で躍進したクルド系政党HDP(国民民主主義党)へのけん制とも取れる、クルド系武力組織PKK(クルディスタン労働者党)への攻撃が開始され、トルコ東部を中心としてPKKと軍の衝突が頻発しています。

PKKは指導者アブデュッラー・オジャランが1999年に逮捕されて以降、非合法武力組織としての立場は影をひそめ、2013年3月にはAKPが推進する和平プロセスの中において基本的な停戦合意が交わされていました。

しかし、2014年10月のトルコ空軍による南東部ハッカリへの空爆、さらに今年7月スルチュで起きた自爆テロに続く国境を越えてのPKK基地への空爆と、AKPはこれまで続けてきたクルド人との和平プロセスを反故にしようとしています。

国内ではデモや爆発事件が頻発しており、兵士の殉職に関するニュースが連日報じられています。PKKとの衝突で殉職したトルコ軍部隊長の兄である中佐が弟の棺の前で叫んだ嘆きの言葉が、今トルコを揺るがしています。

「昨日まで和平と言っていた人々が、今や最後まで戦い抜くと言っている!」

http://www.gazetevatan.com/sehit-yuzbasinin-yarbay-agabeyi-isyan-etti--856939-gundem/


一方で、この数日前にエネルギー・天然資源省のユルドゥズ大臣が発した問題発言、

「私の目的は、願わくば殉職することだ」

という言葉もまた、今トルコで大いに物議を醸しています。

クルド人との泥沼合戦になっていくのか、総選挙で状況は変わるのか。
停滞気味だったトルコ経済への悪影響も懸念されます。

いずれにしても、トルコ人クルド人ともに、無駄に血が流されることだけは避けてほしいと願います。

【トルコ進出、トルコ進出コンサルティング、トルコ貿易投資支援の専用サイトはこちらから】


2015年6月23日火曜日

2015年トルコ総選挙結果

6月7日に実施されたトルコの総選挙は、10年以上に渡った公正発展党(AKP)による単独政権に終止符を打つ結果となった。

大統領権限の拡大を目指すAKPとしては、憲法改正に向けて6割となる330議席の獲得を目指していたのもの、結果は53議席を失って258議席に留まり、2002年の政権樹立以来初めて過半数を割り、第一党の座は維持したものの、連立政権の樹立は避けられない事態となった。

第二党である共和人民党(CHP)は7議席増やし132議席、民族主義者行動党(MHP)は29議席増で81議席を獲得。
そして今回最も躍進甚だしいのは、クルド系政党である国民民主主義党(HDP)で、50議席増の79議席を獲得した。HDPはこれまで候補を無所属で出馬させるなどしてきたが、今回政権として初めて10%を超え、国会で議席を得ることとなった。

これらの結果を受けて、アフメット・ダウトオール首相は6月9日、引責による内閣総辞職の意をエルドアン大統領に伝え、受理された。次期内閣が組閣されるまで首相職に留まる予定。

現在連立政権樹立に向けた調整が行われているが、現状は難航しており、シリア国境におけるIS問題、シリア難民の流入問題、クルド過激派との和平交渉、経済成長の急激な鈍化などと併せて、トルコ政治の先行きの不透明さは増すばかりである。

そんな中、本日23日15時に、第25期トルコ大国民議会(TBMM)の通常総会が初めて開催される。


2015年1月15日木曜日

仏シャルリー・エブド襲撃事件の波紋

世界中に衝撃をもたらした1月7日のシャルリー・エブド襲撃事件。トルコでも大きな波紋を呼び、各紙の紙面は連日関連のニュースでもちきりです。

トルコ国内でも、暴力的報復への嫌悪、表現の自由擁護、逆に表現の行き過ぎへの嫌悪、イスラモフォビア(イスラム恐怖症)の助長への懸念、果ては襲撃の肯定など、反応は様々です。

 
国民の大半がイスラム教徒であるトルコでは、シャルリー・エブドによるコーランや預言者ムハンマドを揶揄した風刺画そのものは不快で挑発的であるとの受け止め方が大半のようです。ただ、それに対してどう反応すべきか、というところで意見は対立しています。




大手新聞社であるCumhuriyet紙が1月14日付の新聞でシャルリー・エブドの最新号からいくつかの風刺画を抜粋して4ページ分掲載する、という情報を受け、警察が裁判所の決定なしに出動し印刷所に立ち入り捜査を決行(1月14日付Milliyet紙)。選定されたコンテンツの中に、件のムハンマドを風刺した表紙絵が含まれていないことを確認した後、 配達トラックの出発を許可したとのこと。また、Cumhuriyet紙の風刺画掲載に対して寄せられるであろう反発を考慮し、周囲に警戒態勢が敷かれました。
実際に、Cumhuriyet紙の風刺画掲載決定に対し、「シャルリー・エブドの挑発を継続している」などのパンカードが新聞社の壁に掲げられるといった抗議行動もありました。
また、SNSで拡散されたCumhuriyet紙襲撃の呼びかけに応じた一部の人々が建物前に集まり「(実行犯の)クアシ兄弟は我らの誇り」とのスローガンを叫ぶといった騒動も(1月14日T24)。

Cumhuriyet紙のウトゥク・チャクルオゼル編集長は次のようにコメントしています。

「我々は表現の自由を侵害する今回の攻撃を激しく憎む。シャルリー・エブドへの連帯を示すため、同誌の特集号から4ページ分ピックアップして弊社の紙面に載せた。選定にあたっては社会の信仰の自由と宗教感情に対して十分配慮したつもりだ。事前に多く寄せられた忠告を受け、雑誌表紙に掲載された風刺画は載せない形で発行した。」(1月14日付Cumhuriyet紙)

実際の抗議行動は限定的ではありますが、宗教感情を逆なでされたことで、イスラム教徒としての同朋意識が強まっている部分は否めません。
 
パリで行われたテロに対する抗議集会は370万人が参加するフランス史上最大規模の集会となり、参加した各国首脳と並んでトルコからもダウトオール首相が参列。そのことに対し、トルコ国内では「(イスラム排斥を牽引する)イスラエルのネタニヤフ首相と同席した」と非難する声も上がっています。

そういった声に対し、首相からは次のようにコメント。(1月13日付けMilliyet紙)
「我々はヒューマニティーの掲げられたところに行くだけだ。我々があの場にいることが道理に適った真摯な対応であるのに対し、イスラエル首相があの場にいることがいかに不相応で不誠実であるか、それを世界に知らしめたし、今後も主張し続けていく。」

「我々は、国家的テロを実行する人々や国家に対して声を挙げ続けて行く。イスラエルの暴政も、スカッド・ミサイルで人民を殺戮するアサド政権も、同様に国家的テロと呼び続ける。今回の集会に参加した中で、このように両サイドの見解を持つ国は唯一トルコだけだ。」

 
「フランスで起きたテロに対し各国首脳が行進したように、ガザの子どもたちのために世界中のリーダーが肩を並べて行進するなら、その時に世界の平和が実現するだろう。自由なパレスチナの首都エルサレムで、世界中のリーダーが行進したら、その時に平和が訪れる。」


 
以上のイスラム寄りの反応に対し、世俗主義を標ぼうする最大野党CHP党首のクルチダルオール氏も、党会議において次のように発言しています。(1月13日付Milliyet紙)

「まず、オランド首相とメルケル首相が、テロ行為とイスラム教を同一視しない、との見解を示されたことに感謝する。テロ対策はもはや一国の国内の問題ではない。テロはどこで誰に対して為されてもおかしくない。世界中がテロに対して力と情報を連携しなければならない。」

「イスラム世界に告ぐ。どうか政教分離を取り入れてほしい。政教分離は信仰を守る。政教分離を無神論と決めつける人々がいたが、そうではない。政教分離とは、人々の信仰に政治が介入しない、という意味だ。政教分離はテロに対する解毒剤だ。武器を持って人々を殺すことはイスラムではない。」

いずれも、イスラム教そのものと過激派の行為は別のものと切り離し、世界的に広がろうとしているイスラムヘイト、イスラモフォビアへの懸念と同時に、そういった動きへの反発として過激派に同調する国内ムスリムの動きも牽制しています。

トルコが建国以来抱えてきた政治と宗教の微妙な均衡が崩れることへの牽制とも言えるでしょう。
 

また、クルチダルオール氏の発言の中には、現AKP政権の対シリア政策への批判も含まれています。

「テロはパリだけで起こっているのではない。ナイジェリアで2000人が殺された。レバノンで、イェメンで、またつい先日、イスタンブールのスルタンアフメットでも自爆テロにより警官が殉職した。間違った対シリア政策により、過激派グループをトルコのすぐ隣に呼んでしまったのだ。その政策ではトルコにしわ寄せが来ると何度も忠告した。結果的に、世界中から過激派要因を持ち込み、過激派への参加者はトルコ経由でシリアやイラクへ入国している。」

 
実際に、ここ最近トルコ国内でのテロ予告、未遂、実際に起きた自爆テロは急増しているという事実もあり、緊張は続いています。

トルコのムスリムもそのほとんどは良識ある敬虔なムスリムであり、過激派によるテロの脅威にさらされていることに変わりありません。
 

ダウトオール首相が外国人記者に対し次のようにコメントしています。

『宗教や文化の異なる人々が共存し、誰も排除されない環境が守られるべきだ』

トルコ宗務庁長官によると、
「欧州では、モスクへの攻撃、モスクに書かれた人種差別的落書き、モスクに豚の頭が掲げられるといった嫌がらせなど後を絶たず、欧州に暮らす3人に1人のムスリムがイスラムヘイトの脅威にさらされている、という調査がある」とのこと。

欧州でのイスラムヘイトの動きが今回の事件を誘発したとの見方もあります。
カリカチュール文化もイスラム文化も、互いを尊重する形で自己主張できると良いのですが。
 

2014年8月20日水曜日

エルドアン大統領誕生


2014年8月10日、トルコで初の国民投票による大統領選挙が実施され、大方の予想通り、タイイプ・エルドアン現首相の圧勝という形で幕を引きました。(※大統領選の前評判に関しては、過去記事『エルドアン首相が大統領選に出馬へ』をご参照ください。)

 
今回選挙での大統領候補とそれぞれの得票率は以下の通り。(http://secim.internethaber.com/cumhurbaskanligi-secimi-2014/)

・現政権与党AKP(公正発展党)党首レジェップ・タイイプ・エルドアン氏(60)・・・得票51.8%
 

・CHP(共和人民党)とMHP(民族主義者行動党)が共同で擁立したエクメレッディン・イフサンオール氏(70)…得票38.4%
 

・クルド系政党HDP(人民の民主主義党)の共同党首セラハッティン・デミルタシュ氏(41)…得票約9.8%
 

AKPに対抗する最大連立野党が、元イスラム協議会(現イスラム協力機構)の事務総長を務め、トルコ文化やイスラム世界に関する多くの著作を世に出している学者のイフサンオール氏を候補に擁立したことは、イスラム保守層の支持の厚いエルドアン首相に対し一石を投じるものではありましたが、同時に、もともとの世俗派支持者の票が大きく割れてしまったのも事実のようです。

HDPはクルド系住民の多い東部を中心に勢力を広げており、今回その得票率を約10%にまで伸ばしてきたのは、クルド系政党としては大きな躍進とも言えます。実際に、「今回の選挙における実質的な勝利」とする見方もあります。トルコ初の公式なクルド人大統領候補となったデミルタシュ氏の、41歳という若さと人権活動家としてのクリーンなイメージ、人種差別解消への期待の高さも大きいでしょう。

全体で75%という投票率は日本に比べたら非常に高く、トルコ国民の政治参加への意識の高さが窺えます。しかし実は、過去10年間にトルコで行われた選挙の中では今回の投票率は最低だった、という驚くべき事実もあります。(ちなみに、3月末の統一地方選挙の投票率は約90%でした。)

その原因のひとつとして、今回の選挙がバケーション・シーズンであったため、帰省や旅行で自分の投票所から離れてしまっているケースが多かった、という見方もあります。また、3月に行われた統一地方選挙でのAKP圧勝に続き、今回もエルドアン氏勝利の予測が有力で、一部の世俗派・反AKP有権者には諦念のようなものもあった印象を受けます。現地メディアやSNSでは「ボイコット派」に関する様々な意見が飛び交っていました。

いずれにしても、二回目の選挙を待たず過半数の支持を得たエルドアン氏は、8月28日を以て大統領に就任します。

現在は、エルドアン氏が大統領就任後の首相後継者が誰になるのか、また、法改正による大統領権限の強化など、その動向が気になるところです。

開票開始後の状況を見て、海外メディアは以下のように報じています。(http://haber.sol.org.tr/medya/dis-basinda-cumhurbaskanligi-secimi-yorumlari-haberi-95683)

AFP通信;エルドアン首相の圧勝はほぼ確実とみられる。この得票率のまま進めば、エルドアン氏はトルコ初の国民に選ばれた大統領となり、彼の「新生トルコ」構想は現実になるだろう。圧倒的多数の支持を得た勝利によりエルドアン氏の強いリーダーとしての位置付けは更に強まるものと思われる。エルドアン氏は首相の次は実行力のある大統領となることを宣言した。

AP通信;エルドアン氏はトルコを分裂させる様相を呈してきた。批判側は彼について、「権力を一手に握り、人々の信仰心に付け入り、徐々に強権化していく指導者」として見ている。エルドアン氏にとって重要なのはこの選挙で獲得する得票率だ。もし統一地方選よりも低い得票率となった場合、それは彼の人気の低下を意味することにもなりうるからだ。批判側は、彼が選挙活動をアンフェアな形で展開し、自己資産でメディアを買収したと主張している。

アルジャジーラ;AKPは統一地方選挙にて圧倒的勝利をものにした。根強い首相人気はここ数か月の展開からもさしたる影響は受けていない模様だ。エルドアン氏は強い大統領となる意志を公言してはばからない。選挙活動を通して、エルドアン氏は実行力のある大統領というポジションについて言及している。それというのも、トルコにおける大統領とはほとんど象徴的なものだからだ。評論家は、彼が大統領選で勝利した場合、国の統制を強める強権的かつ保守的な指導者となると懸念している。

 
デイリー・メール;非公式の数字によると、エルドアン氏が選挙で勝利し、投票による最初の大統領となった。

ハッフィントン・ポスト;ベキル・ボズダー法相はツイッターでエルドアン氏がトルコの第12代大統領となったと発表した。

 **********************************

長期政権の道が開けたことが、国家の安定とさらなる繁栄をもたらすのか、はたまた強権主義による政治の不透明や国内世論の分裂に繋がるのか。
 
トルコの政治状況に世界が注目しています。

2014年4月4日金曜日

トルコ統一地方選挙結果


3月30日、トルコで統一地方選挙が行われました。

投開票の結果、第一党のAKP(公正発展党)は45%を上回る最大得票率で他の政党を大きく引き離し、圧勝しました。


昨年5月末からのトルコ全土にわたる大規模デモの火は未だくすぶり、12月の現職閣僚子息の汚職摘発に続き現首相の電話盗聴音声テープの流出、選挙直前には現政権によるソーシャルメディアの強行遮断など、混乱に次ぐ混乱のトルコ内政。AKP及びエルドアン首相に対する市民の支持は完全に二分されているかの態でしたが、結果はエルドアン首相が民意を得たという形になりました。

世俗派が集中しているチャナッカレやイズミールなど数都市と、クルド系政党が強い東部を除き、アナトリア内陸部はほぼAKP一色。やはりイスラム保守層のAKP支持は固いようです。また、AKP圧勝のポイントとして、エルドアン首相の「リーダーシップ」と「パフォーマンス」が挙げられています。一方では「強権的」ともされるエルドアン首相の政治手法ですが、彼に代わる「強いリーダー」が現れない限り、この分厚い保守層の壁はなかなか崩れないのかもしれません。


ひとまずは、これでトルコの政局は一旦の安定を見た…のであれば良いですが。



ところで、今回の選挙で目を引いたのは、記録的な得票率で市長に選出されたクルド系野党BDP(平和民主党)所属の女性政治家たちの存在です。

 
シュルナク県ジズレ市長に選出されたレイラ・イムレット女史(27)は、5歳の頃に父親が目の前で殺害されて以来家族でドイツに移住、今回立候補のため故郷ジズレに戻り、83%の得票率で市長となりました。

もう一人、ディヤルバクルのリジェ市で91%の票を集めたのは、25歳のレザン・ズウルリ女史。ディヤルバクルのバーラル市役所の付属機関に勤務の傍ら、ディジレ大学ラジオ・テレビ番組制作科に合格、現在も学業継続中。

 



 

…いずれも美女です(鼻息)!!

 

BDPの躍進が、トルコ国内のクルド諸問題をさらに解決の方向へと導き、また女性や若手の政治参加のモデルケースとなってくれることを期待します。