2014年11月29日土曜日

トルコ政府、経常赤字削減に向けて構造改革

標題に関して、イスタンブールで行われたババジャン副首相と日経とのインタビュー内容を2014/11/27の日経Web刊より抜粋掲載する。更に詳しくは同日付日経朝刊をみられたい。




アリ・ババジャン氏。トルコ政府の経済政策全般を仕切る実力者。
現与党、公正発展党(AKF)政権発足時の2002年に経済担当相。07年外相、09年から現職。  米ノースウエスタン大経営学修士。47歳。

トルコのババジャン副首相はイスタンブールで日本経済新聞の取材に応じ、経常収支の赤字削減に向け構造改革を進める考えを示した。最近の原油安の傾向が続けば、2015年の経常赤字は国内総生産(GDP)比で5%以下に低下するという見通しを示す一方、米国の利上げには警戒感を示した。来年の総選挙後の自身の去就については未定だとした。
8月のダウトオール首相就任後の経済政策については「堅実な財政を継続する」と表明した。
トルコは経常赤字の大きい新興国「フラジャイル5(脆弱な5カ国)」の一つとされる。経常赤字を圧縮するために「内需を抑制することが大事だ。資金が消費ではなく投資と生産に向かうようにしたい」と述べた。
政府はすでにクレジットカードの使用抑制や特別消費税の引き上げなどの引き締め策を実施してきた。「成長率の1~2%押し上げは容易」だが、消費抑制は「政治的に簡単でない」と話した。
トルコは石油やガスを輸入に頼る。経常赤字のGDP比は政府計画で15年が5.4%。だが、原油安が続けば「5%以下に下がる」と見込んだ。実現すれば13年の7.9%から大きく改善する。
14年の実質成長率は「3.3%を少し上回る程度になる」と指摘した。15年は4%を計画している。トルコの潜在成長率は4%台半ばとされる。
中長期で経常赤字の一因である内需主導の経済構造を改革する姿勢もみせた。18年までに(1)再生エネルギーの活用などで資源輸入を抑制(2)付加価値型の産業育成のため教育改革や研究開発を促進(3)年金改革や貯蓄率を向上――などを柱に25項目の取り組みを進める。
中央銀行の金融政策は「独立している」と明言した。政府内の一部で中銀に利下げを求める動きはあるが、「議論があれば、中銀は意見を聞いたうえで、密室の中で自ら政策を決める」と言い切った。中銀は1月、国外への資金流出を抑えるため大幅な利上げに踏み切ったが、エルドアン首相(当時)が反対した。
この際の資金流出のきっかけだった米連邦準備理事会(FRB)の政策について「経常赤字が大きな新興国には重要で、様々なシナリオに備えている」と警戒した。FRBは量的緩和策を終え、次の焦点は利上げの時期に移っている。副首相は、トルコの経常赤字がGDP比で4~5%なら持ちこたえられるとの見方があることを紹介した。
「米国の利上げで市場が動揺しても金融システムを安定させるための政策を進めてきた。引き締め的な財政や金融の政策が役立つ」とも語った。
15年6月までに総選挙が実施される。与党・公正発展党(AKP)は内規で国会議員の4選を禁じる。副首相はすでに議員3期目だ。「02年のAKP政権発足時から閣内にいて、去るのが自然だ。個人的には民間に戻りたい」と明かした。一方、「政治の世界では個人の考えで物事が決まらない。確実なことは言えない」とも述べ、民間閣僚として内閣にとどまる選択肢もあると説明した。
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